アレに恋して 2020年7月7日

私の憧れの存在は全員がたまたま男でした。なので、よく男になることを想像します。

 

もしも男になったら、まずは1994年の夏休みの真っ只中にします。そして一家で郊外に住みます。住宅街に一軒家を買い、公立のまあまあな高校に通います。高校二年生で、成績は真ん中くらいで、部活はサッカー部にほぼ幽霊部員として属します。チャリで学校と塾と家の往復をして時々友達とカラオケに行きます。十八番はユニコーンの大迷惑。大きな声出せば乗り切れるし盛り上がるから。彼女はいません。

 

自分の部屋を作ります。六畳フローリングで本棚を置いて、その中に赤本と漫画を乱雑に詰め込んで、サッカー道具を絨毯の床にちらばせて、机の上にはテキストを山積みにします。壁に貼るものは…何も考えていませんでした。モー娘。とかがいいのかな?わかりません。

 

 

 

そしてベッドの下に友達にもらった特別なエロ本一冊を隠します。(幸い、女兄弟はいません。ラッキー!)

こんな貧相な女に興味を持ってたまるか!と自分を咎めながらも、結局ふとした昼下がりにベッド下に吸い寄せられてページを開いてしまい、なんとも不思議な魔法の力で気付けば制服のチャックに手をかけて、部活の筋トレで鍛えた腕(なんで?)の成果を発揮し、いやこれは無駄遣いでは、         ああ          さん、

 

気づいたら果てて終わってしまいました。

 

 

果てた後は世界が広く見えます。そして、しばらく(本来の用途で)使いもしない自分のをティッシュで磨いているうちに敗北感を味わいます。

何回も見た嫌なほど眩しい朱色の背景、歯もろくに揃っていないボサボサ頭の女、そして横に買いてある長たらしいポエム(背景で字はほとんど潰れていて読めないし、そもそも読んだことない)、ましてや色の集合体でしかない印刷物に対してよもや自分のブツがそそり立って貴重な?体液を出してしまうという屈辱に侵され、『こんなもので興奮してしまう自分はまるで変態だ』『この時間で勉強していれば…』という今更な後悔を並べ、考えるうちに眠たくなって、やけになってくたびれた体をベッドに投げ出します。

寝る寸前に思い出すのは行為中に思わず出てしまった女の子の名前。顔も出てきてしまった、最低だ、最低だ、最低だ、たったの5分で傷ものは包装紙の中で腐ってしまいました。

 

 

 

こんな趣深い詩的な生活を送りたいです。 おしまい